大志
2020年10月01日
卒業生が塾に寄ってくれました。
さっそく就職の話になりました。
「就職は製薬会社の○○にいきたいと考えています」と卒業生。
私は「どうしてそこに就職したいの?」と聞きました。
「給与も高いし、不景気に強いから」
私は「え!それだけ!他にないの?」と心の中で驚きながら、またかと思いました。
実は同じようなことがよくあります。
先日も「〇〇大学に行きたい」という生徒がいたので、志望動機を聞く機会がありました。
すると出てきた動機は「がんばれば合格できそうだし、心理学に興味があるから」との答え。
他の動機を聞くと「東京で学生生活をしたいし、キャンパスが素敵だった」とのこと。
例に挙げた二人は、素直で良い子なのですが将来のことを深く考えてないことに不安を感じました。
特にこれからは、変化の激しい時代であり、自分自身をしっかり持っていないとやっていけない時代です。
大学の中退者は約3万人(経済的理由を除く)
高校の中退者は約5万人(平成26年 文科省)
大学を卒業しても、就職も進学もしない学生は7%の4万人(平成30年 文科省)
大卒の就職後3年以内の離職率は、約3割
高卒の就職後3年以内の離職率は、約4割弱
(新規学卒就業者の離職状況 厚生労働省)
上記の数字を見て、道半ばで学業や仕事を投げ出す若者が多いのに驚きます。
私自身、教育に携わるものとして、心が痛みます。
多くの子供たちの問題点は、「目的や目標」をしっかり持っていないことだと考えます。
ご存知の通り目的、目標とは以下の通りです。
目的:「目指すゴール。成し遂げようとして、実現を目指す事柄。取り組む為の理由」
目標:「ゴールを達成するための目印、達成すべき事。目的を達成するための通過点」
製薬会社に就職したいと言った卒業生なら、例えば「医薬品を通して病気の人を治したい」という目的が必要なのです。
そのための目標として製薬会社に就職するのです。
心理学科希望の生徒なら、例えば「悩みや不安のある人の助けになりたい」という目的があり、その目標として心理学科を志望するのならわかります。
多くの子供たちが、目的がなかったり、「目標が目的になっている」のではないかと思います。
某難関国立大学の医学部では、入学した学生に、「医者の目的ややりがい」を教えていると、ある記事で読んだことがあります。
「病気の人を助けたい」と思って医学部を志す生徒ばかりだと思っていた私は、驚きました。
たぶん学力だけで進学先を考える、高学力の生徒にとって医学部が最終の進学先になっているのかもしれません。
さて最後に、生徒には「人のため、世のため」の目的を持ってほしいと思います。
言い換えれば「志」を持つことです。
美味しいケーキで、みんなに笑顔になってほしいから、パティシエ(洋菓子職人)になりたい。
皆が幸せに暮らせる国になってほしいから、政治家になりたい!
病気の人を助けたいから、看護師になりたい!
ペットを元気にして、飼い主にも喜んでほしいから、獣医師になりたい!
人のため、世のためなら何でも良いと思います。
自分のためだけなら限界がありますが、プラスして誰かのためならもっと頑張れます。
脳科学でも「誰かのために頑張ることで、やる気が増す」ことが分かっています。
最後に、有名なクラーク博士の言葉で締めくくりたいと思います。
(高校生は、自力で訳してください)
「Boys be ambitious!
Be ambitious not for money or for selfish aggrandizement
not for that evanescent thing which men call fame.
Be ambitious for the attainment of all that a man ought to be.」
「少年よ、大志を抱け。
けれどお金を望み、私欲を満たし、名声を求める大志であってはならない。
人間が本来持つべきもののために大志を抱け」
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